日本の「働きやすさ」を前に進める、働き方をアップデートした取り組みを表彰 『WORK DESIGN AWARD 2022』受賞企業・団体決定! 新渡戸文化学園のダイバーシティあふれる未来の学校づくりがグランプリを受賞、新設の「パーソン部門」には映画監督の是枝 裕和さんが受賞
~ 「キャリア」「ワークスタイル&プロセス」「ニューカルチャー」など7部門の受賞企業・団体を発表 ~
株式会社SmartHR(本社:東京都港区、代表取締役CEO:芹澤 雅人)が運営する長期プロジェクト「働くの実験室(仮)」は、これからの「働き方」や「働きやすさ」について考えるきっかけづくりを目的に、昨年に続き第2回目となる『WORK DESIGN AWARD 2022』を開催。働き方をアップデートした取り組みを、2022年6月15日より募集しました。応募総数98件の中から、学校法人 新渡戸文化学園の「ダイバーシティあふれる未来の学校づくり~二刀流教員×学外人材×旅する学校~」の取り組みが、グランプリに決定しました。
また、今年新設された、アワードの趣旨を体現された人物を表彰する「パーソン部門」に、日本映画界の労働環境改善を目指し「日本版CNC設立を求める会」を立ち上げた映画監督の是枝 裕和さんを選出しました。
■ 「WORK DESIGN AWARD 2022」受賞一覧
■ WORK DESIGN AWARDについて
『WORK DESIGN AWARD』は、日本の「働きやすさ」を前に進めることを目的に、働き方をアップデートした取り組みを社会に広く伝えていくためのアワードです。
昨年は初開催ながら、6つの部門に対して全国から110件以上の応募をいただきました。「多様な特性やニーズを持つ働き手に寄り添い、力を引き出すにはどうしたらよいのか」「組織と個人は、今後どのような関係を結んでいくべきなのか」など、多くの日本企業が直面する問いに向き合い、形骸化した慣習や枠組みを打破しようとした意欲あふれる取り組みのなかから、グランプリの株式会社パプアニューギニア海産をはじめとした8社を表彰しました。
第2回目の開催となる本年は、より多様な取り組みにスポットをあてたいと考え、出版物・映像作品・広告・SNSの発信など世の中に対して働き方にまつわる新たな気づきや前向きな影響を与えた作品・メッセージが対象の『コンテンツ部門』、働き方や取り組みにより世の中に新たな気づきや前向きな影響を与えた人物が対象の『パーソン部門』を新たに開設しました。これらを含む全7部門に再構成し、柔軟な勤務を認める新制度の導入、多様性に配慮した福利厚生の創設、昨今の「働く」をテーマにした映像作品・書籍など、日本社会全体の「働きやすさ」を前に進める取り組みを幅広く募集。11月10日実施の授賞式にて、スペシャルプレゼンターの木梨 憲武さん、伊藤 淳史さんより表彰状が授与されました。
■ 「WORK DESIGN AWARD」概要
1. 部門カテゴリー
2. 審査基準
- 課題設定:働くにまつわる課題の設定背景
- アイデア:設定した課題の解決可否
- 実施内容:アイデアの実行方法
- 成果:従業員に対する効果と世の中に対する影響度
※その他特別に考慮すべき要素があれば、観点に加える
3. 表彰
審査会による審査員の協議を経て、各部門から部門賞を選出。さらにその中からグランプリを決定。受賞した取り組みには『WORK DESIGN AWARD』受賞ロゴマークを贈呈します。
- グランプリ:その年の顔となる取り組み1点。賞金50万円
- 部門賞:部門ごとに取り組みを1点以上。賞金10万円
4. 審査員
ビジネスやジャーナリズムなどさまざまな分野でご活躍されている5名の審査員によって、総合的に審査を行いました。
- 伊藤 羊一(Zアカデミア学長、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長)
- 岩嵜 博論(武蔵野美術大学 クリエイティブイノベーション学科 教授、ビジネスデザイナー)
- 浜田 敬子(ジャーナリスト、前Business Insider Japan統括編集長、元AERA編集長)
- 龍崎 翔子(水星, Inc.代表、CHILLNN, Inc.代表、ホテルプロデューサー)
- 副島 智子(SmartHR 執行役員、SmartHR 人事労務研究所 所長)
5. スケジュール
- エントリー:6月15日~8月5日
- 書類選考:8月中旬~8月下旬
- 最終選考会:9月下旬 授賞式:11月10日
6. 応募資格
2021年10月1日~2022年8月5日の期間に実を結んだ、働き方をアップデートさせたすべての取り組みが対象。
■ 受賞内容および講評
<グランプリ><キャリア部門> 学校法人 新渡戸文化学園
取り組み名
ダイバーシティあふれる未来の学校づくり~二刀流教員×学外人材×旅する学校~
取組概要
日本の教員志望者は毎年過去最低を更新し続けている状況で、全国の学校では教員不足の悲鳴が聞こえている。そこで同校は教員を憧れの職業にすべく、未来の学校に進化するための最上位目標を「Happiness Creator」と設定した。その目標に向け、教員の副業を本格的に解禁する「二刀流教員」の導入や、多様な学外社会人の教育への参画、毎週水曜日に終日探究を行えるクロスカリキュラムや最前線の社会課題に出会うスタディツアーの開始など、新しい学校への進化をすべてのステークホルダーと対話しながら進めてきた。その結果、優秀な教員やさまざまな経験を持つ学外人材が数多く参画。多様な学園環境の構築が実現し、教師や生徒の幸福度にもよい変化が生まれている。
・https://nitobebunka.ac.jp/educational/teacher/
講評
教育現場の働きやすさの議論は長い間閉ざされた世界の中にありました。この新渡戸文化学園の取り組みは、その状況に変化をもたらす意義ある大きな一歩になるのではないかということを審査員でディスカッションしました。二刀流教員、学外人材、旅する学校という取り組みは、いずれも教育の現場と社会をつなぐものであり、その結果教員の働きがいと働きやすさが実現するという創造的で時代の先を照らす先進的な問題解決です。こうした社会に対するインパクトの可能性もこの取り組みが評価された背景でした。この取り組みがより多くの方に知られることで、他の教育現場への波及や教員の働きやすさ議論の活性化が進展することを期待しています。(岩嵜 博論)
<ワークスタイル&プロセス部門> 一般社団法人日本芸能従事者協会
取り組み名
特別加入労災保険センターおよび相談窓口「芸能従事者こころの119」
取組概要
フリーランス率が94.6%にもなる芸能従事者は、労働災害の際に十分な補償がないという状態が常態化していた。そのような状況を受けた20212年4月の法改正により芸能従事者は新たに労災保険の加入対象となったため、初めてセーフティーネットを得ることができた。そこで全国からオンラインで加入できる労災保険センターを設立し、69業種の芸能従事者の加入が実現。6月には臨床心理士による相談窓口「芸能従事者こころの119」を開設。顔や声が特定されないメール形式の、芸能生活に寄りそうメンタルケアを実施している。労災センターと連携して安全研修などを実施している日本芸能従事者協会には団体会員を含め約4万9000名が加入し、芸能業界に安全衛生の意識が高まりつつある。
・https://artsworkers.jp/kokoro119/
・https://geinourousai.org/
講評
海外では大物プロデューサーや大物俳優による性暴力の告発が相次ぎ、それは#MeToo運動へと発展し、ジェンダー平等を求める世界的なうねりとなりました。日本でも今年になって映画界における性暴力が報道されたばかりです。
俳優やタレントなどはフリーランスという立場であり、さらにプロデューサーや監督から「起用され」なければ仕事がないという、極めて「弱い立場」にあります。その人たちの権利をどう守っていくのかは長きにわたって放置されてきました。こうした相談窓口ができることは、芸能界で働く人たちの権利や健康を守っていくためにも大きな1歩です。
またフリーランスの支援体制をどう作っていくのかは、芸能界に限らず、喫緊の課題です。現在、日本のフリーランス人口は約460万人。今後、プラットフォーム企業と個人事業主として契約する「ギグワーカー」も増えることが予想される中で、他の業界のフリーランスの権利保護、支援のためにも非常に意味のある活動だと思っています。(浜田 敬子)
<ニューカルチャー部門> 株式会社カミナシ
取り組み名
全社員で同じ目標を持って働くために、SFプロトタイピング小説でイメージしやすいビジョンを策定
取組概要
組織規模が大きくなるにつれ、「会社は何を目指しているのか」を改めて知りたいという声が社内から上がるようになり、ビジョンとして明確に定める必要が出てきた。全社員に自分事として捉えてもらうためにSFプロトタイピングという手法を用いたワークショップを実施し、各個人が「カミナシの2030年の未来を想像する」というテーマでショートショート(短い小説)を執筆。そこからピックアップしたエピソードとCEOが執筆した原作を元に、プロの小説家が一つの小説に仕上げた。全社員を巻き込んだこと、また小説という形にしたことでビジョンを理解しやすくなり、発表後に実施したアンケートの結果、35名中34名が「理解できた」「とてもよく理解できた」と回答するなど良い反応を得ることができた
・https://corp.kaminashi.jp/culture/vision2030
講評
従来であればパワポ数ページにわたって、ペルソナ、提供する価値、未来像…と表現していたであろうコーポレートヴィジョンを、小説というフォーマットで表現すること自体ユニークですが、それ以上にスライドごとのぶつ切りではなく、一本の太いストーリーとして語り、読み手を引き込ませ、より高い解像度で、より深く共感させることができる点で、非常に合理的な取り組みであると感じました。未来への見通しを解像度高く立て、社内外へ浸透をさせるという両軸において、面白く効果的なアプローチであるように感じます。全社参加型のワークショップも含め、弊社、株式会社水星でもぜひ取り入れていきたいと思っています!(龍崎 翔子)
<ダイバーシティ&インクルージョン部門> 株式会社アクティベートラボ
取り組み名
障害者のできる仕事エンジン「UnBi(アンバイ)仮」搭載 障害者雇用サービス
取組概要
障害者雇用は採用企業による障害者への知識・理解不足、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)が存在していた。そこで、採用企業と障害を持つ求職者に必要な情報や理解を適切に伝達し、出会える仕組みがあれば障害者雇用はより活性化すると考えサービスを開発した。開発した「障害者翻訳システム」では、障害者が自身の症状を入力するだけで、「概要」「ファシリティ」「コミュニケーション」「業務」を自動的に表示できる。これにより、求職者は面接時に障害の説明に時間を使う必要がなくなり、自身の能力の説明に終始することができる。採用企業も間違った雇用形態を正すことができ、障害に対する理解を深められるようになった。
・https://open-gate.jp/
・https://opengate.careers/recruit/
講評
D&Iという言葉が私たちの生活の中でもよく語られるようになりつつありますが、自分と違う特性を持つ方への知識や理解はまだまだ追いついていないのが事実ではないでしょうか。今回D&I部門を受賞したアクティベートラボは、障害者の雇用に対して社会や企業に足りないものをITの力でバックアップしてくれるシステムを提供するということにとても興味を覚えました。足りないものとは、障害者に対する知識、理解です。その不足によって生まれた採用のミスマッチを防ぐことで、障害者にとっても企業側にとっても長く活躍してもらえる最初の一歩が踏み出せると思います。その一歩はとても大きな一歩だと思っており、お互いのことを正しく知ることはD&I推進の重要な要素だと思います。(副島 智子)
<コンテンツ部門> うえはらけいた/マスナビ
取り組み名
新人コピーライターの成長を描く漫画 「ゾワワの神様」
取組概要
広告系就活サイト「マスナビ」と漫画家・うえはらけいたは、志望者が年々減っている広告業界の魅力を就活生に伝えるための漫画企画を立案。さまざまな先輩の声に触れられる指南書のような漫画作品を作ることが、学生に対する広告業界の宣伝にとどまらず、同業界や他業界で働く若手の人々も鼓舞できる大きな活動になるのではと考えた。毎話、職種や働き方への向き合い方もさまざまな”先輩”を紹介し、アイデアを読者が持ち帰ることができる構成とした。各種SNSでも作品を投稿し、Twitterでは過去に公開したエピソードのビュー累計数は3,263万インプレッションを記録。広告業界に限らずさまざまな業界で働く人々からも多くの共感の声が上がった。
・https://www.massnavi.com/report/1125.html
講評
ゾワワの神様は、コピーライターが成長していくストーリー。広告業界のプロフェッショナリズムがよくわかる。色んな人がいるんだな、と知ることができる。そしてストーリーも表現も面白い。
・・・でも、それだけじゃない。
個人的な話で恐縮だが、僕は、D川さんのエピソードで、初めてゾワワの神様に出会った。読んで、泣いた。何度も泣いた。「ゾワワ」どころではなかった。号泣した。
そして他の話も読み、泣いた。これが仕事だ。これがものづくりだ。これがメッセージだ。これがチームワークだ。
こんな素敵な世界を描いてくれてありがとう。全ビジネスパーソンよ、ゾワワの神様を読み、ゾワワと感じてほしい。
ここに仕事の未来がある。(伊藤 羊一)
<パーソン部門> 是枝 裕和
取り組み名
「日本版CNC設立を求める会」の設立を始めとした日本映画界の労働環境改善を求める活動
取組概要
コロナ禍による映画館の閉鎖や、撮影現場スタッフの長時間・低賃金労働、相次ぐハラスメントの告発など、日本映画界には多くの問題が存在する。こうした状況を改善し、日本映画製作の持続可能なシステムを作るために映画監督有志とともに「action4cinema/日本版CNC設立を求める会」を立ち上げた。「教育支援」「労働環境保全」「製作支援」「流通支援」の4つを柱に、ハラスメント対策への支援やジェンダー平等の促進などを目指す。2022年6月には会立ち上げの会見を開き、日本映画界の労働環境改善を目指すことを発表。フランスのCNCや韓国のKOFICのような、業界内を横断的に統括し支援金を分配する共助システムの必要性を訴えるとともに、この活動を推し進めていくことを発表した。
・https://www.action4cinema.org/
講評
これまで「いいものを作るため」という大義の中で、労働環境の改善が後回しになってきた映画業界。映画界が持続的に活動を続けていくため、そしてそこで働く人たち全ての権利とやりがいが守られるために、フランスの「国立映画映像センター(CNC)」をモデルとした日本版の立ち上げを、是枝氏のような世界的に著名な監督が主導すること自体、問題を可視化させ社会に対して訴求することに繋がると思っています。志を同じくする監督たちに呼びかけ、連携していることも映画界が変わろうとする一歩になると信じています。
私たちが映画などのコンテンツを楽しめている裏にはどんな構造的な問題があるのか、それを知るきっかけにもなると同時に、映画界だけでなく音楽業界やテレビなど同様の問題を抱える業界にもいい影響を与えることを願っています。(浜田 敬子)
※「パーソン部門」は、公募ではなく主催者がアワードの趣旨を体現された人物を表彰する部門のため、グランプリの対象外です。
※オフィシャル画像はお手数ですが、下記よりダウンロードをお願いいたします。
https://bit.ly/3UjyvRR
■ 働くの実験室(仮)とは
株式会社SmartHRが運営する、これからの働き方や企業のあり方に焦点を当てたさまざまな取り組みを束ねる長期プロジェクトの名称です。本プロジェクトは、2020年末に開催した“働く”の未来を考えるオンラインフェス「WORK and FES」をきっかけに長期的な取り組みや情報発信を行う場として2021年夏に立ち上がりました。これまで日本社会の働きやすさを前に進める取り組みを表彰する「WORK DESIGN AWARD」や、「WORK and FES 2021」などを行い、2022年もイベントやPodcastの企画、今の時代の働きやすさを作るアイテムの開発などさまざまな活動を行っています。人々の価値観が急速に変わる今、世の中に新たな“働きやすさ”をつくるため、これからの働き方や企業のあり方に真摯に向き合い、取り組みを通じて社会に問いかけます。
・働くの実験室(仮)ウェブサイト:https://jikken-in-progress.smarthr.jp
・働くの実験室(仮)制作記録(note):https://kiroku.jikken-in-progress.smarthr.jp/
・働くの実験室(仮)Twitter:https://twitter.com/jikken_wip
■ 株式会社SmartHRについて
2013年1月23日設立。2015年11月にクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供開始。雇用契約、年末調整などの人事・労務業務のペーパーレス化や、従業員サーベイや分析レポートなど蓄積された情報を活用する人材マネジメントまで、多様な人事・労務の業務効率化を実現します。「SmartHR」は総務省が提供するe-Gov APIと連携しており、Web上から役所への申請も可能。煩雑で時間のかかる人事・労務管理から経営者、担当者、従業員を解放し、企業の生産性向上を後押ししています。
2020年には関西支社に続き九州、東海にも拠点を開設。2021年、シリーズDラウンドで海外投資家などから約156億円を調達し、累計調達額は約238億円となりました
会社概要
- 社名:株式会社SmartHR
- 代表取締役CEO:芹澤 雅人
- 事業内容:クラウド人事労務ソフト「SmartHR」の企画・開発・運営・販売
- 設立日:2013年1月23日
- 資本金:9,990万円
- 本社住所:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー
- 企業URL:https://smarthr.co.jp/
※ 記載情報は、発表日現在のものです。情報は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
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