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働き方をアップデートした取り組みを表彰する「WORK DESIGN AWARD 2021」を初開催! 好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステムを採用した 『株式会社パプアニューギニア海産』のフリースケジュールの取り組みがグランプリを受賞
株式会社SmartHR(本社:東京都港区、代表取締役:宮田 昇始)は、コロナ禍においてリモートワークが増えるなど働き方の形が大きく変化し、多くの企業や団体が新しい環境に合わせた取り組みを模索する中、これからの「働き方」や「働きやすさ」について考えるきっかけづくりを目的に 「WORK DESIGN AWARD 2021」を開催。働き方をアップデートした取り組みを、2021年8月31日より募集しました。応募総数114件の中から、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステムを採用した、株式会社パプアニューギニア海産のフリースケジュールの取り組みがグランプリに決定しました。
- WORK DESIGN AWARD特設サイト:https://work-design-award.jp
■ 「WORK DESIGN AWARD 2021」受賞一覧
■ WORK DESIGN AWARDについて
WORK DESIGN AWARDは、日本の「働きやすさ」を前に進めることを目的に、働き方をアップデートした取り組みに焦点を当てるアワードです。
これまで、働き方や価値観は時代と共に幾度となく更新されてきました。SmartHRでは、既存の慣習や目の前の当たり前にとらわれず、働き方をアップデートするため奮闘されている組織や人を応援し続けたいと考え、本年よりWORK DESIGN AWARDの開催を決定しました。
初開催となる本年は、働く人の成長やキャリアアップにつながることを目指した「キャリア」、不要なワークプロセスの削減や必要なワークプロセスの開発を目指した「ワークプロセス」、性別・年齢・能力・国籍などに関わらず様々な人が心地よく働くための試み「ダイバーシティー&インクルージョン」など、計6部門を開設。8月31日より、本アワード特設サイトにて募集を開始しました。選出された取り組みを実施した企業・団体には、11月24日実施の授賞式にて、スペシャルプレゼンターの木梨憲武さん、伊藤淳史さんよりトロフィーが授与されました。
■ 「WORK DESIGN AWARD」概要
1. 部門カテゴリー
2. 審査基準
- 課題設定:働くにまつわる課題の設定背景
- アイデア:設定した課題の解決可否
- 実施内容:アイデアの実行方法
- 成果:従業員に対する効果と世の中に対する影響度
※その他特別に考慮すべき要素があれば、加点
3. 表彰
審査会を経て、各部門数点ずつのノミネート作品を選出、審査員の協議を経てグランプリを決定しました。
- グランプリ:その年の顔となる取り組み1点。賞金50万円
- 部門賞:部門ごとに良い取り組みを1〜2点。賞金10万円
※授賞式のプレゼンターは、SmartHRのCMにも出演しております、木梨 憲武さんと伊藤 淳史さんに務めていただきました。
4. 審査員
ビジネスやジャーナリズムなどさまざまな分野でご活躍されている5名の審査員によって、総合的に審査を行いました。
- 伊藤 羊一(Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部 学部長)
- 佐々木 康裕(Takramビジネスデザイナー、Lobsterr Publishing共同創業者)
- 浜田 敬子(ジャーナリスト、前Business Insider Japan統括編集長/元AERA編集長)
- 龍崎 翔子(L&G GLOBAL BUSINESS, Inc.代表、CHILLNN, Inc.代表)
- 副島 智子(株式会社SmartHR 執行役員・SmartHR 人事労務 研究所 所長)
5. スケジュール
- エントリー:8月31日〜9月30日
- 書類選考:10月上旬
- 最終選考会:10月下旬
- 授賞式:11月24日
6. 応募資格
2020年9月~2021年9月末日の期間に実を結んだ、働き方をアップデートさせた取り組みであること
※上記期間内にかかる取り組みであれば、それ以前からの取り組みも対象
※活動・制度・プロダクト・サービス・コンテンツなど、幅広い取り組みを募集
■ 受賞内容および講評
※コロナ禍において、直近の取り組みの変化やアップデートを追加ヒアリング
<グランプリ><ワークスタイル部門> 株式会社パプアニューギニア海産
取り組み名:フリースケジュール
取組概要
従業員が会社のことを嫌いでなくなること、自分の生活を大事に争いのない職場にすることを目指し、一人一人が満足できる働き方を実現すべく、職場環境の改善を実施。従業員全員と面談を繰り返した末に辿り着いたのが、好きな日に出勤ではなく、好きな日に休むことができる『休みやすい会社にする』ということであった。パート従業員のシフト制をやめ、好きな日に連絡なしで出勤・欠勤するシステムを採用し、工場営業時間の間は、出勤は1分単位、退勤は30分単位で自由。退勤時間は出勤時にホワイトボードにて申告、休憩も好きな時間に好きなだけとることができ、全てにおいて報告は禁止としている。時間に縛られないことで、子育て中の人や障害を持った人なども自分の生活を大事にすることができる働きやすい職場となった。2016年に出勤日・時間ともに自由にしてから誰も出勤しなかった日はなく、勤務形態による欠品もない。2020年は離職率0%であり、ベテラン従業員が増えることで作業効率・品質が向上した。現在23名のパート従業員全員に同システムを適用している。
コロナ禍によるアップデート
日頃から自分の生活を優先する働き方であるがゆえにコロナ禍であろうともアップデートは必要ありませんでした。学校が休校でも、旦那さんの会社が休みになっても、フリースケジュールなので自分に都合のよい日や時間に出勤できたようです。これからの時代はどんな変化があるか予想できませんので、改めて柔軟さが企業の強みになるのではと感じました。
講評
東日本大震災を機になぜ働くのかを根本から問い直し、従業員一人ひとりとじっくり話した末にできた、パート従業員が好きな日に連絡なしに出勤・欠勤できる制度を構築。審査会では、これで工場は回るのだろうか、全員が出勤しないような事態は起きないのだろうか、と心配する議論もあったのですが、結果的に離職率が0になったということは非常にうまく機能しているのだと思います。
それは工場長や会社側が働き手の生活や気持ちをとことん理解しようと努められたからでしょう。子どもの体調などで突然休まなければならない時、「休みます」のひと言がどれだけ言いにくいか。そんな細やかな配慮が、結果的に従業員の自律性、モチベーションを引き出しています。
今回の審査過程では今の時代に必要なのは、「働き方の民主化」「働き手の主体性」だとされました。パプアニューギニア海産は、究極の管理しないマネジメントによって、この2つを実現させた点が高く評価されました。(浜田 敬子)
受賞者コメント
私達の働き方や考え方を多くの人に知ってもらうことで「働きづらさ」や「生きづらさ」を抱えている人が少しでも未来に希望をもってもらえればと思っています。今回の受賞を励みに、これまで以上にだれもが居場所のある社会にむけて進んで行きたいと思います。
企業概要
パプアニューギニア産・船凍天然エビ専門の水産会社。水にまでこだわる厳選された原料でエビフライなど製造しスーパーや飲食店などに販売。
<キャリア部門> パーソルキャリア株式会社
取り組み名:社員がつながり、成長を支援しあうコミュニティで社内を活性化。「タニモク」×「モクサポ」プロジェクト
取組概要
コロナ禍によって、本格的にリモートワークが始まった中で、社員同士のコミュニケーションの減少や中途入社者の孤立など、「社員同士の関係性」に関する問題が組織で挙がってきた。そこで立ち上がったのが社員の有志で立ち上げたワークショップ「タニモク」とコミュニティ「モクサポ」という社内活性プロジェクト。「タニモク」は、3~4人で目標をたてあうワークショップで、目標をたててもらうひと(=主人公)が現状を相手に伝え、相手は「自分だったら」という主観で主人公の目標をプレゼンする。主人公は得られたアイデアを用いて、具体的な目標をたてる。これにより、主人公は自分が気づかなかった目標や行動の選択肢が得られる。また、目標を立てあった社員同士が部門間を超えて目標を共有し、行動を支援するコミュニティが「モクサポ」である。2020年9月からスタートして参加者も増え、「タニモク」実施回数は延べ7回、2021年8月時点で「モクサポ」コミュニティメンバーは80名規模に。現在はタニモクを体験した社員が現場に持ち返り、全国で「タニモク」が自発的に開催されており、社員同士の支援の繋がりによるパフォーマンスの向上や、今後のキャリアや働き方を考える機会を創出している。
コロナ禍によるアップデート
コロナ禍でリモートワークが中心になったことによる社員同士のコミュニケーション不足やキャリアの悩みの解消などを目的に、社内の有志メンバーが定期的にタニモクを開催するケースが増加。タニモクのファシリテーターとしてのスキルを持つ社員も増え、現在は全国規模でタニモクが開催されています。
講評
コーチングをベースとする対話の重要性は、1on1ミーティングの浸透とともにだいぶ日本企業の中で意識されてきているが、1対1だとどうしてもコーチ役の力量が問われるし、場合によっては話し手、聞き手双方にとって苦痛にもなりかねない。「タニモク」はこれをオープンな場で気軽に取り組めるように、しっかりと考えられフォーマット化されているのがまず素晴らしい。加えて、目標を立てたら実行だが、成果につなげるためにフォローしあう体制が必要だ。それをモクサポというコミュニティで行うと。本当によく考えられているし、この2つをきちんと行えば成果につながるのがわかる。全国のあらゆる会社で展開してほしい、と心から願う。(伊藤 羊一)
受賞者コメント
この度はキャリア部門賞を頂戴し、プロジェクトメンバー一同光栄なことと喜んでいます。私たちの取組は、社員一人ひとりのはたらく選択肢を増やし、自己決定した目標をサポートすることで「キャリア自律」をグッと後押しするものです。台本や映写データはすべて無償公開しているので、一人でも多くの方に体験してもらいたいと思っています。本当にありがとうございました。
企業概要
パーソルキャリア株式会社は、-人々に「はたらく」を自分のものにする力を-をミッションとし、転職サービス「doda」やハイクラス人材のキャリア戦略プラットフォーム「iX」をはじめとした人材紹介、求人広告、新卒採用支援等のサービスを提供しています。
<ワークスタイル部門> コミュニティサロン と和(株式会社社会起業家パートナーズ)
取り組み名:19種類の働き方
取組概要
長時間労働、低賃金といった劣悪な労働環境により、早期離職や美容師自体を辞める傾向にある美容業の雇用環境の整備の遅れ問題に対して一石を投じるべく、19種類の雇用形態・給与体系を用意。独身、結婚、妊娠、産休・育休、子育て、親の介護など、女性のライフステージに合わせて、働き方は6ヵ月毎に変更が可能で、 19種類の働き方から、雇用形態・給与体系などを選ぶことができる。「土日勤務の有無」「1週間の出勤日数」「1日の労働時間」「給与」をフローチャートで作成することで、19種類の雇用形態・給与体系を分かりやすくしている。また、ノー残業デーの導入や施術終了20分後までに退社といった残業削減の取組み、勤務間インターバル制度等による働き方の改革、ボランティア休暇制度等による休み方の改革など、働き方改革・休み方改革・両立支援の三つの側面から雇用環境を整備。雇用環境の整備によって、社会的課題であるママ美容師・休眠美容師の雇用にも積極的に取り組んでいる。
コロナ禍によるアップデート
19種類の働き方に加え、テレワークやフレックスタイムを導入しました。美容師という技術職であっても、商品やサービスの企画検討をテレワークで実施。また、フレックスタイムでは、出退勤の時刻を従業員に任せるため、サービス業では導入が難しいとされる制度ですが、労使で十分に協議をして運用をしています。そのため、残業に特化した勤怠管理アプリ「Smart勤怠管理」を自社開発。GPSと連動して出退勤データを1分単位で記録して、「長時間労働」や「サービス残業」といった労働環境を改善しました。
講評
「19種類の働き方」というタイトルと内容を拝見して、経営者の執念や、何がなんでもやりぬくぞ、という気迫が感じられた。美容業界は労働環境が厳しく、せっかく夢や想いをもって就業した人たちが、ハードな環境に苦労するばかりでなく、美容師自体をやめることも多いと聞く。それを打破するためには業界の「常識」を打ち破るチャレンジと成果が不可欠だが、それを実現したのは先に述べた経営者の執念や気迫と、実効性のある施策だ。具体的な取り組みにより長時間労働は激減し、有給休暇の取得も進み、さらなる取り組みに向かわれている。所属する美容師さんたちの働きがいは確実にアップしていると思う。この取り組みは業界の希望だ。(伊藤 羊一)
受賞者コメント
当社の取り組み、「19種類の働き方」が評価されて大変光栄です。日本では、美容師免許をもっている人が、美容師として働いている就業率は約40%に留まります。この就業率の低さを改善するため、当社の取り組みが美容師の働き方が変わり、美容師としての就業期間が延びていけば嬉しいです。
企業概要
ソーシャルビジネスに特化した経営コンサルティング会社。自主事業としても、「コミュニティサロン と和 / 訪問美容 と和」の屋号で美容室や訪問美容の美容事業を展開しています。美容業で初めて、東京ライフ・ワーク・バランス認定企業に選出されており、これらの経験から美容業を皮切りに「長時間労働」や「サービス残業」とった社会的課題を解決に挑戦しています。
<ワークプロセス部門> GMOインターネットグループ
取り組み名:さよなら印鑑キャンペーン
取組概要
GMOインターネットグループは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務体制に移行し、在宅勤務期間中にグループ各社の従業員を対象としてアンケートを実施した。その結果、押印手続きのために出社をする、「ハンコ通勤」の事態が多くあることが判明した。このような背景を受け、業務効率化やリモートワーク支援、電子契約の普及・発展を推進するため、「さよなら印鑑キャンペーン」と題し、脱ハンコに対する賛否の意見や”無駄ハンコ”についてのエピソードを募集する『みんなの”無駄ハンコ実態調査”2020』を実施。多くの方に脱ハンコについて考えていただくきっかけづくりを行った。また脱ハンコの実現を後押しすべく、グループ会社のGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」を活用した官民への支援を実施。民間企業に対しては、最大1年間の「電子印鑑GMOサイン」の無償提供を開始。官公庁・自治体に対しては、「さよなら印鑑~1億総デジタルプロジェクト~」と題して、同サービスを最大1年間無償提供するキャンペーンを実施。結果として、「さよなら印鑑キャンペーン」では最終的に約8万6,000票の投票数を集めるなど、脱ハンコに関する大きな反響を得ると共に、「電子印鑑GMOサイン」の提供を通じて日本の80自治体・企業31万社(2021年9月)の脱ハンコ実現をサポート。
コロナ禍によるアップデート
コロナ禍の長期化による非対面手続きのニーズの高まりや政府によるe-KYC戦略の推進を受け、電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」において日本初となる『マイナンバー実印』機能をリリースし、マイナンバーカードを用いた厳格な本人確認が可能となりました。2021年10月には神奈川県横須賀市とともに、実証実験結果をもとにした電子契約導入効果を発表。契約書起票~締結完了までの時間を95%、契約締結作業時間を34%それぞれ短縮でき、ペーパーレス化により年間の紙の使用量を0枚にできるなど、大幅なコスト削減効果が見込めることがわかりました。
講評
日本に初めて緊急事態宣言が出た2020年4月、これからどのようになるのかは誰にもわからず、全国民が不安を抱えながら目の前のことで精一杯だったと思います。そのような中でいち早く押印に関する非合理に着目し、自社内だけでなく外部へもその影響力を発揮されました。これまで当たり前だった各種書類への押印はオフィスへの出社が必須となり、それだけのために出社を必要とした方も多かったと思います。同年の冬には政府も押印の廃止を打ち出していますが、コロナ禍初期の2020年4月に実施されたスピード感には敬意を表します。大手企業が率先して打ち出してくださったことで、他社も続きやすくなったと思います。これからも、お手本でいてください。(副島 智子)
受賞者コメント
この度は、「WORK DESIGN AWARD」ワークプロセス部門賞を受賞させていただき、誠にありがとうございました。
グループ一丸となって取り組んできた、「さよなら印鑑キャンペーン」や「電子印鑑GMOサイン」を通じたDX推進の施策を評価頂き大変光栄に思います。GMOインターネットグループは、電子署名・電子契約業界のフロントランナーとして、これからも行政・民間企業問わず日本社会全体のDX推進に貢献してまいります。
企業概要
東証一部上場のGMOインターネットを中心に、上場9社を含むグループ106社、パートナー数6,600名超の日本を代表する総合インターネットグループ。インターネットの文化・産業とお客様の「感動」「笑顔」を創造し、ひいては社会と人々に貢献することを目指し、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業を展開している。
<ニューカルチャー部門> 株式会社キャスター
取り組み名:実在しない人事担当「遠藤ひかり」が業務を遂行
取組概要
毎月多数の新入社員が入社する関係で、人事担当者宛には入社時の契約や就業規則について、毎回同じような質問が繰り返されていた。多くの内容がマニュアル化できており、テンプレートをもとにした対応で事足りていた。そのような中、同じことを発信するのに、担当者は一人でないといけないのか?という疑問が出てきた。こうした課題に対し、実在しない架空の人物を設定し、複数名が運用するという手法を実施。実在しない架空の人物「遠藤ひかり」を設定。複数人の人事担当者がこの「遠藤ひかり」アカウントを運用し、人事の契約・更新手続き等の窓口業務を担当した。社内ではいつの間にかその実情を知る人もいれば、知らぬままの人もいた中、2021年4月にこの内容がウェブメディアに掲載されたことで、反響を呼び、会社運営において、一人の人格を複数名で運用する手法は合理的であるなどといった意見が上がった。担当者が休暇時や退職した場合も、継続的に一定の質を保った対応が可能であるほか、人格を持たせることで心理的安全性を担保し相談のハードルを下げ、情報の一元化管理につなげている。
コロナ禍によるアップデート
コロナ禍でリモートワークを希望する働き手が増えています。フルリモート経営の弊社は時同じくして採用を強化していたこともあり、メンバー数がこの1年で300人ほど増えました。「遠藤ひかり」という架空の人事担当者により、入社人数が増えているにもかかわらず、入社者との膨大なコミュニケーションを前年と変わらず滞りなく行えています。メディアに掲載されたことで、この運用方法の合理性にポジティブな声をいただきました。
講評
以前、とある歌手の方が、芸名と本名を分けることで、世間からの批判を自分へのものではなく、自分のした仕事へのものだと捉えることができ、自らの心を守ることができた、とおっしゃっていたのが非常に印象に残っています。労務・総務といった、属人化しやすくかつ迅速な対応が必要な窓口業務は、得てして深夜や休日の対応といった帰結へと繋がりやすいですし、その上クレームや交渉対応など精神的に負荷がかかりやすいものも少なくありません。そんな中、個人に依存する業務を、架空の人物にゆだねることで、チームで情報共有をしながら運用していくことができるなど、働き方の当たり前を変えていくようなクリエイティブな提案だと感じています。(龍崎 翔子)
受賞者コメント
「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げる弊社が、このような賞を受賞でき大変光栄です。弊社はBPOサービスをオンラインで展開する企業です。業務プロセスの最適化を常に追求し、社内外に対して広く普及させてきました。今後も従来の働き方にとらわれず、多くの方が働きやすい社会を作ってまいります。
企業概要
オンラインアシスタント「CASTER BIZ」をはじめとした人材事業を運営。「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げ、創業時よりフルリモートで経営しています。柔軟に働ける環境を整えており、当社への採用応募および登録者は月2,000件以上。現在1000名以上(うち雇用社員 約500名)のリモートワーカーが在籍しています。
<ニューカルチャー部門> 株式会社リブセンス
取り組み名:Q by Livesense
取組概要
リブセンスは社会課題をITの力で解決することを目指している。取り組み前、従業員に「事業部愛」はあったが「会社愛」はあまりなく、会社としてのアイデンティティを改めて確立する必要があった。時を同じくして、それまで芳しい成果を上げられずにいた広報ブログを改善したいというニーズがあった。
広報チームでどのようなメディアを目指すか話し合い、さまざまなオウンドメディア事例を参考に、目指したい姿について検討した。バズを目指さず、読まれやすい字数などのセオリーも捨て、等身大で伝えること。それから「リブセンスを」紹介するのではなく「リブセンスによって」紹介することを目指し、2020年12月、問い続ける時代の企業ブログ『Q by Livesenese』をローンチした。縦書き、長文、写真なしというスタイルで、会社から見える社会課題について読者に問いを投げかけるコンセプトの企業ブログができあがった。社内外からの反響は大きく、一記事あたりの平均PVは約10倍に。また、記事を読んだ従業員から「こういうメディアがあることが、私がここで働いている理由」といった声も寄せられ、従業員自身が「働く」ことの意味を再発見しつつある。
コロナ禍によるアップデート
リブセンスではコロナ禍においてリモートワークを基本の働き方としていたため、新たな発見はありつつも、オフィスが文化の拠点としての機能を果たせずにいました。会社のコミュニティ要素が薄まりつつあった状況の中で、ことばを共有できる場所として「Q by Livesense」が存在していたことは、結果的に拠り所になっていたかもしれません。
講評
とかく自社の宣伝、採用目的のコンテンツが並びがちなオウンドメディアで、ここまで「面白く」「読ませる」ものができるのか、という驚きがありました。面白いだけでなく、働き方や、ジェンダーや障害者の問題にまで深く考えさせられるテーマにも切り込み、新しい企業のオウンドメディアのあり方を示している点が評価されました。今企業の社会的な責任の範囲は広がっています。働き方や採用に関する考えだけでなく、社会で議論されている問題についても、その企業がどんな価値観を持っているのかが問われています。ホームページで企業理念として示すだけでなく、コンテンツ化し、面白いメディアをつくることでより広く伝わり、結果的にはその企業のブランド価値も高める、そんな可能性を示したと思っています。(浜田 敬子)
受賞者コメント
正解を提示するのではなく、自社を喧伝するのではなく、問いにフォーカスしようと始まった『Q by Livesense』。物事を言い切るスマートさはないかもしれないけれど、わたしたちが抱いている葛藤の中にこそ価値があるのではないかと信じて、こつこつとブログを更新してきました。今回このような賞をいただき、とても光栄に思います。
企業概要
株式会社リブセンスは、「あたりまえを、発明しよう。」をコーポレートビジョンに掲げ、求人領域、不動産領域など多様なサービスを展開しています。問い続ける時代の企業ブログ『Q by Livesense』では、会社から見える社会のことを取り上げ、“あたりまえ”を考え直すことのできる場を目指しています。
<エンプロイーベネフィット部門> 株式会社ガイアックス
取り組み名:従業員が事業部を法人化し、株式・オーナーシップを持つ「カーブアウト・オプション制度」
取組概要
従業員がどれだけリーダーシップを発揮しても、経営のオーナーシップを持つことは難しく、労働のリターンを十分に享受できずに社員が退職する課題や、社内では意思決定権やスピード感を得られず経営スキルが育ちにくいという課題に対し、全事業部のリーダーやメンバーが自らの意志で事業を法人化できる独自の制度「カーブアウト・オプション制度」を作り導入。事業リーダーが申請すれば、事業を子会社化することができ、また、事業メンバーに対して全株式の50%のストックオプションが付与される「会社に所属しながらにして自分の事業を一部自分の会社にできる」制度。同オプションの活用により、事業部を運営するチームメンバーは株式の少なくとも3〜4割を所有できる。さらに議決権の所有や第三者からの資金調達はもちろん、報酬を配当か給与にするかの決定に至るまで、事業に関する全ての意思決定を事業部で行うことも可能に。この制度の活用が進み、メンバーのオーナーシップの高まり、メンバーの働きがい、モチベーション、キャリアや金銭的報酬においてベネフィットがもたらされ、アントレプレナーシップをもつ社員が、退職ではなく社内起業を選択するように。2020年に同制度を活用したアディッシュ株式会社が東証マザーズに上場、2021年にEDGE株式会社が資金調達によりMBOするなどの成果につながっている。
コロナ禍によるアップデート
カーブアウト・オプション制度の活用により、オーナーシップをもって各事業リーダーが事業に取り組むようになりました。会社のあり方が、連続的に起業家を輩出するスタートアップスタジオに変貌しています。2020年からは中高生に「起業ゼミ」を提供し学生起業家を発掘。有望な中学生へ200万円を出資するに至っています。
講評
日本の企業では「雇われて働いている」という感覚が強い、と言われていますが、それは企業にとっても本人にとっても非常に勿体無いことだと常々感じています。「雇われ」じゃなくなる体系を、ただの新規事業としてでなく、キャピタルゲインも得られる法人化制度として実現しているのは極めて本質的だと感じます。従業員側のオーナーシップを抱きやすく、また良質な人材を獲得しやすいなど、会社側にとってのメリットもある仕組みを制度として作り上げられており、実際にIPOしている企業も複数あるなど、大きな成果を残している点が審査員から評価されました。(龍崎 翔子)
受賞者コメント
今、世界各地に、マネジメントの常識を覆す次世代型組織が出現しはじめています。それは、今の世界の問題に対して、従来の上意下達やピラミッド型の組織だけでは通用しない時代となったからでしょう。格差の解消、内発的動機、ウェルビーイング、クリエイティビティ、キャリア自律が今ほど重要なときはありません。一人ひとりが本来持つオーナーシップを発揮する時代が来ています。
企業概要
ガイアックスは、人と人の思いがつながることで、互いが自然と助け合う未来を信じ、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー領域で社会課題解決に取り組むスタートアップスタジオです。事業を連続的に生み出すべく、新規事業のアイディア出しからグロースまで、起業前のフェーズから私たちは徹底した支援を提供しています。
<ダイバーシティー&インクルージョン部門> 株式会社オリィ研究所
取り組み名:分身ロボットカフェDAWN ver.β
取組概要
「すべての人に社会とつながり続ける選択肢を」をテーマに、ALSなどの難病や重度障害で外出困難な人々が分身ロボットの遠隔操作を行い、カフェのサービススタッフとしての就労にチャレンジするプロジェクト。開発された「分身ロボットOriHime」は、老若男女・障害の有無を問わず操作ができ、外出困難状態であっても就労を可能にする。カメラ・マイク・スピーカーという入出力装置に加え、身振り手振りという非言語をも使いこなし、このジェスチャーが生み出す「リアクション」は、話者同士が離れた空間に居てもあたかもそこにいるかのような「存在の手触り」を作り出している。2018年より「働き方改革とは働かせ方改革なのである」という信念のもと、テクノロジーによって「動けないが働く意欲がある人々」を「動けないが働ける人々」にする実験とチャレンジを繰り返し、合計4回のテストを経て、2021年6月遂に常設店の開店に至った。重度障害者に一時的な雇用の場を作るばかりではなく、カフェでの勤務経験を買われて一般企業へと就職するケースも多数生むモデルケースとなった。
コロナ禍によるアップデート
重度障害のために寝たきり状態で労働人口としてカウントされてこなかった当事者が分身を使って働く新しい障害者就労支援のモデル、という文脈だけではなく「ロボットが可能にするコロナ禍における非接触接客の新しい形」として各メディアで紹介していただいたことは大きな喜びである。
講評
「働く」ことは有機的に社会と繋がりを持つという側面がありますが、身体的、あるいは社会的な理由でそれが難しい、あるいは難しくなった方が少なからずいらっしゃいます。そうした分断を素晴らしい理念とテクノロジーを用いて解決しているのがオリィ。「働く」ということが、より包摂的であり、さらに社会課題の解決にもつながり得るということを示してくれた素晴らしい取り組みだと思います。将来的には、カフェに限らず他の形態にも広まってくれることを期待します。(佐々木 康裕)
受賞者コメント
寝たきりにならないのは寝たきりになる前に天寿を全うした人だけであり、今後医療の発展と共に多くの人が寝たきりとなる可能性がある。「セカンドライフ」については豊かな夢を描くが、寝たきりになってからの「サードライフ」からは目を逸らすばかりの我々にとっての未来を先んじて生きているのが、オリィ研究所が「寝たきりの先輩」と呼ぶ重度障害者たちである。彼らが労働を通じて社会と繋がり続ける実験場であり続けたいと願っている。
企業概要
「人類の孤独をリレーションテックで解決する」をミッションとし、「その場にいる存在感」を共有できる分身ロボットOriHime、テレワークでの肉体的社会参加を可能にするOriHime-Dを開発販売している。これらを活用して重度障害者の就労機会を社会実装する「分身ロボットカフェDAWN ver.β」を2021年6月に開設。
■ 働くの実験室(仮)とは
株式会社SmartHRが運営する、これからの働き方や企業のあり方に焦点を当てた様々な取り組みを束ねる長期プロジェクトの名称です。本プロジェクトは、2020年末に開催した“働く”の未来を考えるオンラインフェス「WORK and FES」をきっかけに長期的な取り組みや情報発信を行う場として2021年7月に立ち上がりました。今後はイベントやPodcastの企画、今の時代の働きやすさを作るアイテムの開発など様々な活動を予定しています。人々の価値観が急速に変わる今、世の中に新たな“働きやすさ”をつくるため、これからの働き方や企業のあり方に真摯に向き合い、取り組みを通じて社会に問いかけます。
- 働くの実験室(仮)ウェブサイト:https://jikken-in-progress.smarthr.jp
- 働くの実験室(仮)制作記録(note):https://kiroku.jikken-in-progress.smarthr.jp/
- Twitter:https://twitter.com/jikken_wip
■ 株式会社SmartHRについて
2013年1月23日設立。2015年11月にクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供開始。雇用契約、年末調整などの人事・労務業務のペーパーレス化や、従業員サーベイや分析レポートなど蓄積された情報を活用する人材マネジメントまで、多様な人事・労務の業務効率化を実現します。「SmartHR」は総務省が提供するe-Gov APIと連携しており、Web上から役所への申請も可能。煩雑で時間のかかる人事・労務管理から経営者、担当者、従業員を解放し、企業の生産性向上を後押ししています。
2020年には関西支社に続き九州、東海にも拠点を開設。2021年、シリーズDラウンドで海外投資家などから約156億円を調達し、累計調達額は約238億円となりました。
■ 会社概要
- 社名:株式会社SmartHR
- 代表取締役:宮田 昇始
- 事業内容:クラウド人事労務ソフト「SmartHR」の企画・開発・運営・販売
- 設立:2013年1月23日
- 資本金:83億1452万円
- 本社:東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー
- 企業URL:https://smarthr.co.jp/
※記載情報は、発表日現在のものです。情報は予告なしに変更されることがありますので、 あらかじめご了承ください。
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