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クラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、サービスビジョンに「Employee First.」を掲げ、すべての人が、信頼しあい、気持ちよく働くためにサービスの提供を通じて、働く一人ひとりの可能性を引き出す環境づくりを後押ししています。
近年、爆発的に進むAIの活用は、人事・労務領域においても、膨大な従業員データのなかから最適な人事戦略を提案するなど、多くの便益をもたらしてくれると期待しています。一方で、黎明期にあるAI技術には、適切な知識と倫理観を持って利用しなければ誤った答えを導いてしまうリスクが潜んでいます。
私たちは以下のポリシーのもと、AI利用におけるリスクに適切に対応しつつ柔軟に技術を活用したサービス企画・開発・提供を行ない、テクノロジーで日本の”働く”をより良いものにしてまいります。
人間中心の原則
「SmartHR」におけるAIは、人事・労務領域に関連する意思決定の補助として存在します。AIは従業員のスキルや特性、実績やキャリアなどのさまざまなデータをもとに、人間では処理しきれない多数の組み合わせから最適と思われるものを提案したり、人事戦略の方針を示してくれることが期待されます。意思決定の材料となる膨大な情報処理にAIを活用することで、業務の効率化を実現し、本質的な施策実行やきめ細やかな従業員のケアを後押しするサービスを目指します。また、最終的な意思決定を人間が行なうことで、労働法などの法令を遵守した判断を行なうことはもちろん、従業員の労働環境や精神衛生上の安全にも配慮した判断を行なうべきだと考えます。
教育・リテラシーの原則
私たちはAI活用に関する技術の進歩、社会への影響・課題について日頃から情報収集を行なうことで適切なサービス開発に努めます。また、AIを活用したサービス企画・開発・提供を行なうにあたり、AIの正確な理解と、社会的に正しい利用ができる知識・倫理観を持った人材を長期的に育成してまいります。
プライバシー保護の原則
私たちは、AIを活用したサービス企画・開発・提供において、お客さまから収集した定量・定性データを、個人情報保護法をはじめとする関係法令の遵守にとどまらず、個人の自由、尊厳、平等、権利、利益が侵害されないよう、適切に取り扱います。また、管理者が「SmartHR」に蓄積されている従業員情報をAI機能に活用するかどうかを自ら判断できるよう、事前の丁寧な説明を行ないます。管理画面内では管理者がAI機能の利用を選択できる手段を提供するなど確実な情報管理を行ないます。また、AI機能の使用中止を希望される場合も直ちに使用中止できるような設計を意識しています。
セキュリティ確保の原則
個人情報の取り扱いをはじめとしたセキュリティリスクを低減するため、適切な安全管理措置を施し、万全な情報管理に努めます。また、「SmartHR」におけるAI利用のリスク評価を常に行ない、サイバーセキュリティリスク低減に努めてまいります。
公平性の尊重・透明性と説明責任の原則
AIによる提案を参考に意思決定を行なう際は、すべての個人が公平に扱われるように注意する必要があります。例えば、AIが過去の人員配置データに基づいて新たな配置を提案する場合、そのデータに偏りがあると不公平な結果を生む可能性があります。そのため、データの偏りを定期的に確認し、必要に応じて修正することが重要です。AIが真に公平であるかは所与のデータが十分であるか、適切なAIが設計されているかに左右されるため、人間が公平な価値観を持ち、判断する必要があります。このような適切なAI活用により、人間の判断に潜むバイアスを排除でき、データを活用した公平な機会を生み出せることが期待できます。私たちは、倫理観に基づいた情報収集と啓発を行なうことで、お客さまと共に公平な価値観の醸成に努めてまいります。
そして、AIの判断根拠は透明であるべきです。AIが提案・推奨するさまざまな人事戦略について、その理由を明確に説明できるよう努めます。
私たちは、これらの原則に基づいてAIを活用し、すべての人が価値ある仕事に集中し、従業員と企業がお互いに信頼しあい、気持ちよく働ける環境づくりを後押ししていきます。これらの原則は私たちのAI活用に対する責任を示すものであり、私たちはこれらを遵守し、AI活用による成果を積極的に公表していきます。